冬至りなば...。 (2006年12月22日冬至執筆開始、翌日脱稿)


冬至です。
この時期は、基本的に寒がりな私には、
東京の生ぬるい寒さでも、そこそこ応える季節ですが、
いよいよ、冬の到来です。
以前に、「 秋分にて。 」で触れたことですが、
ハワイ土産の2006年のカレンダーにも、
今日(12月22日)のところに、" Winter begins " と書いてあります。



冬といえば、「冬来、春不遠(冬来たりなば、春遠からじ)」ということわざが有名ですが、
これを変形させて、「冬至りなば、択一(たくいつ)、唐辛子」という言葉をつくった
司法試験受験生がいるようです。
#それが私自身である可能性を排除するものではありません。
"冬至にもなると、司法試験の短答式試験(いわゆる「択一」)は遠くはない"
という意味と思われます。
但し、「唐辛子」は音の響きが「遠からじ」に似ているだけで、
深い意味は無さそうです。



ちなみに、「冬至」とは、今日における天文学的な定義からは、
太陽視黄経が270度となる瞬間を指すようです。
このとき、地球から見た太陽の位置は最も南に寄っています(赤緯−23度27分)。
また、少なくとも北半球の温帯地域においては、
1年で最も昼の長さの短いときでもあるようです。
しかし、北半球の温帯地域において、
日の出が最も遅い日でも、日の入りが最も早い日でもありません。
#「天文年鑑」(誠文堂新光社)の2007年版の68-71頁によると、東京で、
#日出が最も遅いのは1月前半ごろ、日没が最も早いのは12月前半ごろのようです。
これは、「均時差(きんじさ)」によるものです。

「均時差」とは、大雑把に言えば、実際の太陽(「視太陽」)の南中時刻から、
一般に用いられる時刻の基準となる「平均太陽」なる架空の天体の南中時刻を
引いた値のことで、+17分〜−15分の範囲で変化します。

なぜ、一般に用いられる時刻は「平均太陽」なる架空の天体を基準にするのでしょうか。
それは、実際の太陽が南中してから、翌日に南中するまでの時間(1視太陽日)は、
数十秒の範囲で変動するので、不便だからです。
そこで、地球から見て天の赤道上を一定の速さで移動する「平均太陽」を
基準にすることで、1日の長さを24時間に揃えたのです(1平均太陽日)。
しかし、[1]実際には地球が太陽をまわる公転軌道は円ではなく楕円ですので、
地球から見た視太陽の動きは一定ではありません(「ケプラーの第2法則」による)。
また、[2]視太陽の通り道である黄道と、平均太陽が通るとされた天の赤道とは、傾きがあります。
そこで、仮に地球の公転軌道が円であって、太陽が黄道上を一定な速さで動いたとしても、
赤道に対する太陽の動きは一様にはなりません。
この[1]と[2]との理由から、視太陽の南中時刻と平均太陽の南中時刻との差が
変動するのです。

「均時差」についての更に詳しい話は、検索サイトで「均時差」で検索すると、
案外(?)多くのサイトが出ますので、そちらもご覧下さい。
例えば、「 こよみのページ(http://koyomi.vis.ne.jp/) 」の中の、
冬至は一年で一番日の出の遅い日か?・・・均時差の話 」あたりは詳しいです。
活字の本で確認したい方でしたら、高校の地学の参考書のうち厚めの物などには
比較的わかりやすく説明してあるかもしれません。
#この文章を書くにあたって、「総合力完成 地学」(旺文社)を参照しました。
#この本は1985-87年頃に購入した、ふた昔前(?)の参考書で、
#初版発行が1983年1月で、1984年に重版とあります。
ただ、十分な説明のある参考書が現在市販されているか否かは、未確認です。



最後まで読んで頂き、ありがとうございました。


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