本日(11月4日)の日本経済新聞の朝刊の社説に、
鳩山邦夫法務大臣の発言に関する論評が
掲載されています。
上は、この日経社説の切り抜きを
スキャナでとりこんだものです。
クリックしても拡大表示はしません。
抜粋すると、
>資質問われる失言連発の法相
> ほかにも逸脱は目立つ。官民共同運営の新しい刑務所
>「社会復帰促進センター」の名称を
>「絶対『刑務所』がいい」と主張しているのも
>そのひとつだ。初犯者の矯正と社会復帰に重点を置く
>という同センターの趣旨が分かっているのだろうか。
> 司法試験合格者を将来三千人に増やす計画に
>対しても、「法曹の質が落ちる」「日本が訴訟社会であって
>はいけない」などと反対している。司法制度改革の流れを
>わきまえているのか、首をかしげたくなる。
とのことです。
下は、その部分の拡大画像です。
これも、クリックしても、さらに拡大はしません。
司法試験、といっても金持ちしか受験資格のない
「あっちの試験」つまり新司法試験のことですが、
その合格者を3000人に増やす計画に
法相が反対している点について、
>司法制度改革の流れをわきまえているのか、
>首をかしげたくなる。
とのことです。
司法試験制度改革の流れを「わきまえて」いない
のではなくて、必要以上に合格者を増やすという
制度改悪に反対しているのだと、
思うのですが、どうでしょうかね。
わきまえている(=内容を理解する?)か否か、と、
賛成しているか否か、とは別次元であるように、
私は思うのですが。
つまり、「内容を理解しているが反対する」ということは
「内容を理解していない」こととは別である、と
私は思うのですが。
営利法人(=民間企業)などでは、
社会の「流れ」に合わせる(時流に乗る)ことは
常に正しいことであって、
たとえ、社会の「流れ」が悪い方に向かっているとしても
「流れ」に逆らうことは良くないこと、という考え方も
あるのかもしれません。
そこで、この日経の社説を書いた人も、無意識に
「司法制度改革」は社会の流れである。ゆえに、
「司法制度改革の流れ」に合わせることが、正しい。
という立場を取ってしまうのかもしれません。
まぁ、それよりも、「民活礼賛」論者の財界人に
感化されたか迎合してるのか、というのが
大きいのかもしれませんが。
なお、合格者3000人に反対した法相発言については、
以前に『司試合格者数の弁護士アンケート』でも
触れてあります。
また、官民共同運営の新しい刑務所の名称についての
名称についての法相の主張に対して、
>初犯者の矯正と社会復帰に重点を置くという
>同センターの趣旨が分かっているのだろうか。
とのことですが、
これも鳩山法相は、「分かってい」ないのではなくて、
「分かっている」が反対している
だけだと、私には思えるのですが。
私個人の意見としても、現状以上に、
犯罪者の「矯正と社会復帰に重点を置く」ことには
賛成しかねます。
それは、初犯者であっても例外ではありません。
まず犯罪に対する処罰があって、矯正とか社会復帰は、
処罰がなされた後のことでしょう。
処罰と並行して矯正するとしても、
それが処罰の妨げになってはならないわけで、
矯正や社会復帰に「重点を置く」というのは、
本末転倒な気がします。
鳩山邦夫法相というと、
十数年前に文部大臣だった頃には、
「ゆとり教育」のスポークスマンみたいな感じだったので、
#公立で教える内容を減らしたら、
#経済的に私立や進学塾に行けない人は、
#ますます有名大学に入りづらくなるじゃないの!?
ということで、あまり良い印象を持ってなかったのですが、
法務大臣になってからの数々の名言で、この数ヶ月
私の鳩山法相に対する印象は
大幅に改善しつつあります。
まぁ、さすがに、「友人の友人がアルカイダ」は
まずいと思うけど。
あと、死刑「ベルトコンベヤー」発言も、
法務大臣が死刑に消極的だった場合に、
死刑執行が不当に遅延した前例もあるので
一つの考え方なのかもしれませんが、表現はちょっとね。
むしろ、現在および将来の法務大臣には、
検察を管轄する大臣として、
刑事訴訟法475条1項の責任を果たしてもらいたいものです。
さらに、刑事訴訟法475条2項本文に違反する事態が
頻発しているらしい現状を是正してもらいたいものです。
>第475条 死刑の執行は、法務大臣の命令による。
>2 前項の命令は、判決確定の日から6箇月以内に
> これをしなければならない。但し、上訴権回復若しくは
> 再審の請求、非常上告又は恩赦の出願若しくは
> 申出がされその手続が終了するまでの期間及び共同
> 被告人であつた者に対する判決が確定するまでの
> 期間は、これをその期間に算入しない。
最後になりましたが、
この記事では日経の社説は批判の対象になっていますが、
個人的には、日経は嫌いではありません。
それは、この『村瀬 泰一 雑感録』で
時事ネタを書く時には、原則としてNIKKEI NETから
引用していることからも、それは明らかでしょう。
ちなみに、私は1990年3月からずっと日経の読者です。
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