雇用対策法の改正?

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各種報道によりますと、「改正雇用対策法」が成立したそうです。
企業が労働者を募集・採用する際に、
年齢で制限することが原則として禁止されるとのことです。

NIKKEI NETの該当記事へのリンクを張ります。
ウェブ魚拓によるキャッシュはこちらです。

年長の求職者の支援のための立法ということらしいですが、
効果のほどはどうでしょうかねぇ。

男女雇用機会均等法で男女別の求人が原則禁止されたときにも、
採用側(求人広告を出す側)には、男を採りたいor女を採りたい
といった希望はあるのに、それを求人広告に出せなくなりました。
で、求職者が自分の採用される可能性のない求人に応募して、
採用側も形式上は性別で断ることもできず、
事前に結果の決まった形だけの面接をやって、
互いに時間を浪費する…、といった事態が増えたという
風聞を聞いたことがあります。風聞ですけどね。

今回の年齢制限にしても、同じような事態になりそうに思えます。

採用する側が、仕事の中身も給料も、
年齢に関係なく「1年目は1年目」という扱いをするようになれば、
採用時の年齢制限という風習は、すたれていくのでしょうが。
#ヘッドハンティングの場合とか、
#実務経験を重視しての中途採用の場合とかでの、
#特別扱いまでは否定しません。

ただ、求職者の側にも、「1年目は1年目」という扱いに
反発する人もいるのかもしれませんね。

電車の中とかでも、見ず知らずの乗客相手に
単に自分が年上であるというだけで、
あたかも自分が目上であるかのような振舞いをする人も
多々見受けられます。
こういう人が中途採用されたりすると、
年下の先輩社員に対して横柄な態度を
とったりするのかもしれません。

そういう人が多いから、採用する側も、
新卒で自社に就職した同い年の正社員と同様の仕事を
いきなり出来る人しか、中途採用では採りたくないのかもしれません。

極端な場合、中途採用の応募者で、
妻がいて、子供がいて、子供が教育費のかかる時期だから、
新卒採用の1年目の22?23歳と同じ給料では無理…、とか
言い出す人もいるかもしれませんね。

子供の教育費が家計に大きな負担となることは、
それはそれで由々しき問題なのですが、それはさておき、
定職に就いてない人が結婚とか子作りとかいうのは
倫理的に問題があるように思うのは、私だけでしょうか?
あ、働かなくても食べてけるだけの経済的基盤のある方は別です。
#前職での経験が評価されるような形での転職はともかく、
#未経験者扱いでの中途採用に応募するというのは、
#たとえ前職が正社員であったとしても、遡及的に
#「定職」ではなかったことになると思いますが…。

そういう、倫理的に問題のある行動を採った人への配慮のために、
年齢の高い人には勤続年数が短くとも高い給料を出すべき
みたいな風潮が広まっているのだとしたら、
そういう配慮は無用に願いたいものです。

そのような風潮は、日本社会を「再チャレンジ」の困難な社会にする
一因ともなりかねませんから。

あ、誤解のないように書いておきますが、
ヘッドハンティングとか、実務経験重視の中途採用とか、
前職での経験が評価されるような形での転職をした人が、
前職での経験を加味して新卒の新人より高い給料をもらうことには、
反対しません。

経験不問の中途採用において、
単に年齢が高いとか、妻子がいるといった理由で、
新卒の新人より高い給料を払うといった考え方に対する、
これは不平であります。

あと、中途採用(特に未経験者)の年齢制限の背景には、
年を取るにつれ仕事を身につける能力が低下する、という
考え方もあるのでしょう。
これについても、能力的に劣った者は若くても劣ってるし、
能力のある人は多少年取ってても、若くて劣った者よりは上
と私には思えるのですが、どうなんでしょうか?
少なくとも、年を取るにつれ仕事を身につける能力が低下する、
という考え方だけでは、募集の年齢制限の理由としての
合理性が薄いような気もしますが、
まぁ、それで、若くても能力的に劣った者をつかまされても、
そこは求人側の自由裁量ないし自己責任なのでしょう。
#人気と実力のある企業なら、
#仮に未経験者の中途採用をするにしても、
#若くて優秀な人でなければ敢えて採らない、ということも
#できるわけで…。

こういった、求人側・求職側双方の意識を変えるための
具体的措置もないままに、
求人の年齢制限だけを禁止してもねぇ…。

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このブログ記事について

このページは、村瀬 泰一が2007年6月 2日 21:40に書いたブログ記事です。

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