比例議員の「造反」は?

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報道によると、民主党の
大江康弘参院議員(比例代表選出)が
道路特定財源についての政府案に
賛成の意向を示したことについて、
同党の菅直人代表代行が、
造反なら議員辞職すべきという趣旨の発言を
24日にしたそうです。

NIKKEI NETの該当記事
ウェブ魚拓によるキャッシュはこちらです。

この事案に対する私の感想を書いたら、
以前に書いた『政党よ、選挙互助会たれ。』と、
ほとんど同じになると思うので、そちらを御覧下さい。

要は、国会議員は政党の代表ではなく、
「全国民を代表する」(憲法43条1項)立場に
あるのだから、個別の政策の賛否ごとに
各国会議員が己の政治的信念に基づいて
離合集散すべきなのであって、
政党だの派閥だのといった団体単位で
行動するのはいかがなものか、
ということです。

比例代表制では有権者は政党に投票したのだから…、
という考え方もあるでしょう。
ですが、それならば、むしろ問題なのは
国会議員をあたかも政党の代表で
あるかのごとく位置づける比例代表制の
是非(さらにいえば合憲性の有無)でしょう。

平成16年1月14日最高裁大法廷判決は、
「憲法は、政党について規定するところがないが、
 政党の存在を当然に予定しているものであり、
 政党は、議会制民主主義を支える不可欠の
 要素であって、…」
と判示して、参議院非拘束名簿式比例代表制を
合憲としています。
cf.有斐閣『判例百選II』(第5版)166番(p.346-347)

仮に、国会の裁量の範囲内で違憲ではないとしても、
比例代表は妥当か不当か、というと、
ちょっとね…、という気がします。
少なくとも、かつての全国区制の方が、
選挙に金がかかるとしても、
国会議員の表決等に対する
政党の過度な干渉をもたらさないだけ、
betterな制度だったのではないでしょうか。

なお、前述の最高裁判例は、
「候補者個人には投票したいが
 所属政党には投票したくない」
という有権者の投票意思の反映のありかた
からの検討がメインで、
国会議員に対する党議拘束の是非という観点からの
検討をしたものではないようです。

ところで、上記判例が
「政党の存在を当然に予定している」とか
「議会制民主主義を支える不可欠の要素」とまで
言ってるのは、
ちょっと政党に媚びすぎな気がするのは
私だけでしょうか。

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このページは、村瀬 泰一が2008年1月26日 00:43に書いたブログ記事です。

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