区立中の夜スペ

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各種報道によると、東京都杉並区立和田中学校で
「夜スペシャル(夜スペ)」と称する補習講座が
26日に始まったそうです。

公立中の校舎で「サピ」の授業をやることの
是非はさておき、
もっと私の関心を惹いたのは、
この事例を巡る各種論調の中で、
「教育の機会均等」という言葉が、論者によって
全く違う意味に用いられていたことです。

「正反対の意味」とまで言っていいかもしれません。

私の感覚では、「教育の機会均等」というのは、
「財力等の有無にかかわらず、
 能力に応じた教育を受けることができること」
という意味です。
このサイトでも、「教育の機会均等」というフレーズは、
特に注記しない限り、こういう意味のみに使います。

ですが、世の中には、
「教育の機会均等」というフレーズを、
「能力のある子も、そうでない子も、(公教育においては)
 同じ内容の教育を受けること」
という意味に使う人がいるみたいで、
びっくりしました。

能力のある子も、公教育では
「能力のある子」以外の子と同じ内容の
教育しか受けられない、というのでは、
公教育においては、能力のある子は、
その能力に応じた教育を受けられない、
ということになるでしょう。
#公教育において、能力のある子に合わせて
#授業をやるのならともかく、
#今の日本の公教育がそうなっているとは
#到底思えませんから。

その場合、能力のある子が
能力に応じた教育を受けようとすると、
私立とかに行かねばならなくなるわけです。
つまり、能力のある子にとっては、
能力に応じた教育を受けられるか否かが
財力によって決せられることになるわけです。

先ほど、
>「正反対の意味」とまで言っていいかもしれません。
と書いたのは、そういうことです。

更に言えば、
「教育の機会均等」というフレーズを
「能力のある子も、そうでない子も、(公教育においては)
 同じ内容の教育を受けること」
という意味に使う人がいることと、
東京の都立高校の学区制導入とは、
同根なのかもしれません。

都立高校の間の学力格差を悪とみる風潮から
学区制による都立高の学力平準化が図られ、
その結果、有名大学に行こうと思うと
私立進学校に行った方が有利な状況になりました。
で、私立進学校の多くが中高一貫校だったために
公立中は(学力的にor経済的に)私立へ
行けなかった人の行く所、みたいな位置づけになりました。
#親の都合で東京へ転居した中学生もいるだろうけど、
#それはそれで、かわいそうな話…。
で、小学生のうちから、進学塾に通って…。

いや、私立や進学塾に通う金のある家に
生まれついた人はまだいいですけどね、多分。

私が東京周辺と熊本の教育事情しか知らないから、
比較の対象として熊本の話になりますけど、
熊本においては、県立高校の進学実績には
学校ごとに大きな差があります。
…と、書こうとしたら、長くなったので、別の記事にします。
   『熊本における公立高校の学力格差』へ続く。

なお、「夜スペ」に関するNIKKEI NETの該当記事は
ウェブ魚拓によるキャッシュはこちらです。
ただ、こちらのNIKKEI NETの記事では、
「教育の機会均等」とは何を指すのか、については
あまり意識していないかもしれません。

   『熊本における公立高校の学力格差』へ続く。

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このブログ記事について

このページは、村瀬 泰一が2008年1月28日 23:12に書いたブログ記事です。

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