来年以降の司試合格者数

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今年の司法試験(旧司法試験)の論文合格発表
あったばかりで、口述試験もまだだというのに、
来年以降の話で恐縮ではありますが、
今年の6月22日に司法試験委員会において、
来年以降の司法試験(旧司法試験)の合格者数の
目安について取りまとめがなされていたそうです。

#こういう大事なことは、もっと大々的に
#取り上げて欲しいものです。

法務省のサイトの中の
「司法試験(旧司法試験)Q&A」の中の、
「Q 今後,旧司法試験の合格者数はどうなりますか?」に
あります。
ウェブ魚拓によるキャッシュでは、こちらから
キャッシュを表示させて、一番下にあります。

で、結論ですが、

>平成20年は200人程度を、同21年は100人程度を、
>同22年はその前年よりも更に減少させることを
>一応の目安とされております。

とのことです(改行位置と読点は変更)。

なお、「司法修習二回試験、71人不合格」で
書いたことと重複しますが、
平成23年は22年の口述不合格者に対する口述試験だけで、
実質的には平成22年までで司法試験(旧司法試験)は
廃止されることになっています。
それ以降は、新司法試験のみとなりますが、
新司法試験は、ロースクールでの修学に耐えうる資力を
有しない者には、原則として受験資格を認めない、という
制度になってます。

ロースクールでの修学に耐えうる資力を有しない者にも
法曹への道を残すために、「予備試験」という制度が
導入される予定ではありますが、どのくらい機能しうる
制度になるか全く不明です。
#予備試験を実質的に機能させようとすればするほど、
#「ロースクール制度の理念」とやらが形骸化するので、
#「理念」自体の当否を無視して「理念」に合致するか
#否かだけで物事の良し悪しを判断する人々は、
#強く反対すると思われます。

何の根拠もない個人的な予想では、
予備試験の合格者数は、H22の旧司法試験の
合格者数(数十人?)と同程度以下にされるのでは、
と思います。

予備試験を実質的に機能させようと考えると、
ふた昔前の司法試験の合格者数が500人くらいでしたから、
そのくらいの人数を予備試験で通して、
それで数が足りない分をロースクールで「養成」すれば
いいのです。
まぁ、当時であれば十何年かけて受かってたレベルの人で
金のある人はロースクールへ行くでしょうから、ということで
その分を差し引いたとしても、せめて、200?300人は…。
但し、これは、実現性を無視した、単なる私の妄想です。

#もっと妄想すれば、予備試験などしないで、
#「ロースクール修了を前提とした問題を出題する」と
#しつつも、「ロー修了を受験資格要件としない」
#とかなら良いのですが。
#何なら、定員の7分の2だけを、ロースクール修了の
#有無に関わらず成績上位者から合格させ、残りの
#7分の5はロー修了後3年以内の者から合格させる、
#ぐらいのロー優遇策をやれば、中堅以上のローには
#潰れぬ程度には学生が集まるでしょう。
#優遇枠の対象が「修了後3年以内」であれば、
#受け控え目的の留年以外は、
#不毛な受け控えも防げますし。
#なお、「7分の5」という分数は、以前の「丙案」を
#茶化しただけで、深い意味はありません。
#丙案の時とは、優遇枠と一般枠が逆ですが。

新司法試験があまりにひどい制度なので、
それよりbetterな制度を妄想していったら、
きりがありません。
#というか、あれよりひどい制度を考える方が難しいかも。

ただ、風聞によりますと、某与党(自民党ではない)は、
予備試験の導入自体に反対しているそうな…。
#上記の私の2番目の妄想とは全く違う意味です。

ですから、予備試験もあてにはできません。
#今の高校生以下の世代で、金のない人には、
#実に過酷な話です。

また、一部には、奨学金制度があるから
ロースクール制度は受験資格の財力制限には
該当しない、との見方もあるのかもしれません。
しかし、希望者全員が、授業料のみならず
生活費・家賃相当額まで低金利で
借りられるのであればともかく、
成績優秀者に限定して授業料だけ免除というのでは、
親元から通える人であればともかく、地理的に
親元から通えない人にとっては全く不十分です。
#ここでいう奨学金とは、貧乏人にも道を開く制度、
#というよりは、成績優秀者を表彰する制度、と
#考えるべきでしょう。

夕方だけ授業をやるロースクールに、働きながら
通えばいい、という見方もあるかもしれませんが、
そういう所に通える時間帯に退社できるのは、
大企業の社内弁護士養成プログラムに乗って、
ロースクールに通う人くらいでしょう。
#本当は、そういう人の多くは、新司法試験の受験資格を
#自腹で買えるくらいの財力を持ってたりする。
普通の会社員が、「ロースクール行くので
5時に退社させてくれ」なんて言ったら、
「これサインしてくれたら、いいよ」と言って、
退職願の用紙を渡されるのがオチでしょう。

逆に、午前中か、昼休みなしで午後1時くらいまでで
授業が終わるロースクールとかあったら、
いわゆる「かたぎ」の職業の人は無理でも、
塾講師とか家庭教師とかの仕事しかしてない人は、
通えるかもしれませんね。
入試の発表の時点で授業料免除にしてくれたらですけど。
#でも、そういう所は聞かない。

で、要するに、今年の不合格者にとっては、
残された椅子の数は、三百数十席というわけです。
司法試験、論文合格発表(2007)」でリンクを張った
法務省のサイトの関連資料から判断して、
今年の出願者のうちの不合格者の数は
27000人台後半になるでしょう。
#択一受験者に限ると約23000人です。
仮にそのうち約1万人は記念受験、ないしは
それに類似する人々であったとしても、
残りの1万数千人については、この期に及んでなお
旧司法試験にしがみついてることから推測して、
「法曹以外の職業に就く途を事実上絶たれているにも
 かかわらず、未だに司法試験に合格しておらず、
 なおかつロースクールに通う資力を有しないために
 新司法試験の受験資格を得られない者」
であると考えるべきでしょう。
#ある程度以上の年齢の人の場合、仮にロースクールで
#新試験の受験資格を買って合格しても、
#弁護士が増えすぎて仕事にあぶれる、という話も
#ありますが、それについては
#「司法修習二回試験、71人不合格」の後半と
#ますます重複するので、ここでは省きます。

以前、私は、別のところ(ネット上ではないと思う)で
司法試験のことを「十人中九人は消えてなくなる試験」と
評したような気がします。
ですが、これからは、「五十人中四十九人…」くらいで
言うべきかもしれません。

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このページは、村瀬 泰一が2007年10月 8日 23:38に書いたブログ記事です。

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