新60期の二回試験

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聞くところによると、第1回の「新司法試験」を受けて
司法研修所に入った、いわゆる「新60期」の人々の
二回試験(司法修習生考試)の結果が18日に
発表されていたようです。

新60期のうち986人が受験し、
不合格者は59人だったそうです。
また、「59期」と「旧60期」で、以前に二回試験に不合格に
なったことのある方々が69人再受験されたそうです。
再受験の方々からは、17人が不合格だったそうです。

YOMIURI ONLINEの該当記事へのリンクを張ります。
ウェブ魚拓によるキャッシュはこちらです。
但し、この記事は不合格数を「76人」とするだけで、
新60期と旧試験組(再受験者)との内訳が
書いてありません。

しかし、「Oh!姐御」というブログの
二回試験合格おめでとうございます』というエントリーに、
朝○新聞社系サイトの記事が引用されています。
そちらには、内訳も書いてあります。

個人的には、朝○新聞社の情報は
鵜呑みにしないことにしてるのですが、
上にリンクしたYOMIURI ONLINEの記事とも
矛盾しないようですので、
今回は59+17=76という内訳の数字も書きました。

そういえば、各種サイトを見た感じでは、
第1回の「新司法試験」を受けて司法研修所に入った
人々のことを、「新60期」と呼ぶのが一般的みたいです。
#今まで「新1期」だと思ってました。

9月に旧60期の二回試験の結果について書いた、
司法修習二回試験、71人不合格』で「新1期」という
表現を使っているのは、その表れです。

ちなみに、上にリンクしたYOMIURI ONLINEの記事では
「法科大学院1期生」という表現になっています。
#司法研修所の何期、ではなく、
#ロースクールの1期生という数え方ということに留意。

で、986人中59人不合格ですか。
不合格者の割合でいえば、旧60期の1468人中71人より悪く、
史上最低ということになるけど、
びっくりするほどのひどさではなかったわけです。
#もしも不合格者が3桁になってたら、まぁねぇ…。

でも、新60期の不合格者が、この程度でとどまったのは、
考えてみると、当たり前のことなのかもしれません。

新60期は全員がロースクール既修者コース出身なので、
その大部分は、2003年の司法試験不合格者のうち、
ローに転進しうる財力を有していた人々でしょう。
#あるいは、2002年不合格→03年はロー入試に専念、とか。
#03年の司法試験を受けると、受験回数制限で不利だし。

旧60期は大部分が2005年の司法試験合格者なので、
その中には、2003年不合格→04年不合格→05年合格、
という経歴の方々が少なからずいらっしゃると思われます。

つまり、2003年の不合格or受験回避のうち、
ローへ行く財力のあった人が新60期で、
当時の俗称でいう「現行試験」に
踏みとどまったor踏みとどまらざるを得なかった人々のうち
2004年に落ちて05年に受かったのが旧60期というわけで、
2003年時点での両者の能力差は、
それほど大きくなかったわけです。
#新60期の人の中には、「現行試験」に残っていれば
#2004年に受かっていた方も、2005年に落ちてた人も、
#混じってると思いますが。

むしろ、ロースクール教育が、旧司法試験の受験勉強よりも
司法修習や二回試験に近い内容になってたら、
むしろ旧60期より二回試験の合格率が高くても
良いくらいです。

でも新60期の二回試験合格率が旧60期より低いのは、
2004年と2005年の「現行試験」に落ちてたはずの人まで
「ロースクール制度」という名の財力による足切りの
恩恵を受けて、司法研修所に入ってしまっていた、
ということの表れかもしれません。

でも、本当に「見もの」なのは、新61期以降でしょう。

「新司法試験」というと、第2回以降は
回を重ねるごとに合格率が低下することから、
回を重ねるごとに難化していく、という見方もあるようです。
でも私には、そうは思えません。
理由は『司法修習二回試験、71人不合格』の中で
書いたので、ここでは繰り返しませんが。
で、新司法試験は回を重ねるごとに易化して、
その分、二回試験の不合格者が増えていくように思えます。

とはいえ、旧司法試験だって、合格者大幅減とはいえ、
受験者の大部分は(私も含めて)前年の不合格者、
#あえて言おう。カスである、と…。
その「残りカス」の中での椅子取りゲームなわけで…。
競争率の高い旧司法試験をくぐりぬけたからと言って
油断していると、二回試験で足をすくわれかねない
わけです。

まぁ、私の場合は、その前にまず
旧司法試験に合格しないことには、
二回試験を受験することすらできないわけで、
だったら、さっさと勉強しろよ、と自らにツッコミつつ、
この記事をしめくくります。

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このページは、村瀬 泰一が2007年12月22日 20:07に書いたブログ記事です。

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