村瀬 泰一 どっとこむ

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2007年5月21日 23:00における投稿のページです。

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300日規定(民法772条2項)と救済措置

離婚後300日以内に生まれた子を前夫の子と推定する
民法772条2項の規定について、
離婚後の妊娠であるとする医師の証明書があれば、
再婚した夫の子として出生届を認める救済措置が
21日から開始されたそうです。

NIKKEI NETの該当記事へのリンクを張ります。
ウェブ魚拓によるキャッシュは、こちらです。

民法772条2項の文言は、「推定する」であって
「みなす」ではないのだから、個人的には、
もっと緩やかに運用してても良さそうな気もします。

しかし、ここでの「推定」というのは、
いわゆる「推定される嫡出子」と言って、法律上は
父子関係を否定するのが難しくなっています。

つまり、法律上の夫婦の間に生まれた子(「嫡出子」)のうち
民法772条2項に該当する子、つまり、
婚姻成立後200日経過後または
婚姻解消(離婚など)・取消から300日以内に
生まれた子は、夫(婚姻解消後300日以内では前夫)の子と
推定されてしまうために、父子関係を争うには
「嫡出否認の訴え」(民法774条・775条)に
よらねばならないのが原則です。
#例外として、「父を定める訴え」と「推定の及ばない子」とが
#ありますが、それらについては後述します。

この「嫡出否認の訴え」というのは、早い話が、
前夫の側から「この子は俺の子じゃない」と訴える制度であって、
母・子の側から「この子の父親は前夫ではない」と訴えることは
認められていません。
#嫡出否認の訴えは、夫だけが、子の出生を知って1年以内に限り、
#提訴できるものです。
私の想像ですが、立法当初は、
妻が不倫して産んだ子が夫の財産を相続するのを
夫の側から阻止するための制度とされていたのでしょう。

ですから、ここで社会的に問題となるような事例では、
母・子の側から父子関係を争う方法がなく、
現行法の原則からは、前の夫の子にされてしまうわけです。

先に例外として挙げた2つのうち、「父を定める訴え」については、
離婚後300日以内かつ再婚後200日後に子が生まれた場合に、
前婚の嫡出推定と後婚の嫡出推定が重複するので、
そういうときに子の父を定めるための制度(民法773条)です。
この制度は、母が再婚禁止期間(「六箇月」733条1項)に反して再婚し、
しかもそのような婚姻届が受理された場合でないと、
適用されません。

なお、嫡出子のうち民法772条2項に該当しない子、
つまり婚姻成立後200日以内か婚姻解消・取消から300日後に
生まれた子は、「推定されない嫡出子」といって、
「親子関係不存在確認の訴え」によって
父子関係を争うことが認められます。
この訴えは、利害関係人であれば提訴でき、
出訴期間の制限もないそうです。
なお、「親子関係不存在確認の訴え」は、法律に明文規定はないのですが、
判例・戸籍実務において認められたものです。

嫡出否認の訴えによらなくてよい、もう一つの例外たる、
「推定の及ばない子」というのは、
民法772条2項に該当する場合であっても、
懐胎時に夫が在監中・失踪中・海外滞在中などの場合や
事実上の離婚状態であり夫婦関係が断絶していた場合などには
前述の「親子関係不存在確認の訴え」によって、
父子関係を争うことを認めるべき、というような「考え方」です。

個人的には、いわゆる300日規定が問題となるような事例では、
この「推定の及ばない子」という考え方を広く認めれば
妥当な解決を図る余地も広くなるように思えます。
ですが、どのような場合に「推定の及ばない子」として扱うべきか
明確な基準もないためでしょうか、
なかなか上手くいかないようです。

そこで、民法772条を議員立法で改正しようとする
与党プロジェクトチームの動きもあったそうですが、長勢法相いはく、
「貞操義務、性道徳という問題も考えなければいけない」とのこと。
参照:YOMIURI ONLINEの該当記事へのリンク
    ウェブ魚拓によるキャッシュはこちらです。

つまり、この法相発言では、婚姻関係が破綻していても、
離婚請求訴訟(民法770条)で争っていても、
法律上も離婚が成立するまでは、貞操義務が及ぶというわけです。

この辺は、もはや「家」意識に対する発想の違いと
言わざるをえないのでしょう。

代理母出産のところでも書いたけど、
私の感覚では、親子関係の基本は遺伝的連続性です。
よって、遺伝上の父と遺伝上の母とが、法律婚関係にあったかどうかなど
親子関係に何らの影響も及ぼすべきではない、という発想になります。
それもあって、個人的には、
遺伝的に後夫の子である可能性が、前夫の子である可能性より高ければ、
戸籍上も後夫の子としてよいのでは、とさえ思えます。

参照条文:
民法772条1項 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
       2項 婚姻の成立の日から二百日を経過した後
          又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に
          生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

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