村瀬 泰一 どっとこむ

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2008年2月27日 22:09における投稿のページです。

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三浦和義氏、逮捕さる。

報道によると、いわゆる「ロス疑惑」で被告人とされた
三浦和義氏が、米国サイパンにおいて逮捕されたそうです。

驚くべきことに、逮捕理由とされた被疑事実は、
日本での裁判において無罪が確定した、
あの事件だということです。

MSN産経ニュースの該当記事へのリンクを張ります。
ウェブ魚拓によるキャッシュはこちらです。

ロス疑惑について、私は
マスコミ報道の範囲内のことしか知りません。
というか、ロス疑惑が日本のワイドショー番組を
にぎわした当時、あの事件に対して、さほど関心を
持っていたわけでもないので、マスコミ報道の範囲内の
ことでも、ろくに知りません。

だから、三浦氏が「一美さん銃撃事件」に
関与していたか否か、私には皆目わかりません。

でも、日本の裁判所で無罪が確定した事件で
逮捕されたとなると、「一時不再理の原則」に照らして
違和感を感じずにはいられません。

まぁ、今でも「陪審制」などという野蛮な制度を
維持してるような国ですから、
「何でもあり」なのかもしれませんが。
#などと書くと、「陪審制のどこが野蛮なのか?」
#などというツッコミが入りかねません。でも、
#(予断や偏見に流されないような訓練を経た
#職業裁判官ではない)素人が、
#被告人が真犯人か否かを、話し合いで
#決める制度はやっぱり野蛮だと思います。
#中世ヨーロッパの魔女裁判と同レベルでしょう。

陪審制のことはさておき、一事不再理。

一事不再理とは、一度確定判決があった場合
同一の犯罪行為についての再度の起訴は
許されなくなる、という原則です。

日本では、憲法39条前段の中の
「...既に無罪とされた行為については、
 刑事上の責任を問はれない。」
との文言で定められているとも解されます。
#あと、刑事訴訟法337条1号も。

この憲法39条前段の文言だけでは
わかりにくいと思いますが、
昭和26年5月30日の最高裁大法廷判決は、
>39条前段に「既に無罪とされた行為については、
>刑事上の責任を問はれない」というのは、
>行為時の法令によれば有罪であったものが
>裁判時の法令に従えば無罪である行為につき
>刑事上の責任を問われないという趣旨ではなく、
>すでに無罪の裁判のあった行為については
>再び刑事上の責任を問われないという趣旨である。
という趣旨のことを述べています。
#『コンサイス六法 2008』(三省堂)42頁にある
#判例要旨をちょっと修正しています。
##「本条前段」→「39条前段」

「一事不再理」と似た原則として
「二重の危険の禁止」というのもあります。
これは、一度個人が刑事訴追を受け、
有罪判決の危険を受けたならば、
再度同じ危険を受けることはない
という原則です。

こちらは、憲法39条後段の
「同一の犯罪について、
 重ねて刑事上の責任を問はれない。」
との文言に由来するとも解されます。

ただ、一事不再理と二重の危険の禁止の異同に
ついては、まだ舌足らずだと、自分でも思いますが
このくらいにしておきます。
#一事不再理を二重の危険禁止の現れと解する見解
#あるくらいですから、両者の異同に深入りするのは
#受験生レベルでは危険ですらあります。

なお、いわゆる「芦部憲法」の第四版、つまり
芦部信喜著(高橋和之補訂)『憲法 第四版』(有斐閣)の
239頁~240頁には、
憲法39条の前段と後段との関係について、
>この前段と後段の関係については、
>[1]両者をあわせて英米法で言う「二重の危険」
>(double jeopardy)の禁止の原則を定めたのか、
>[2]両者はともに大陸法的な刑事裁判における
>「一事不再理」の原則を定めたのか、
>あるいは、[3]前段は一事不再理、
>後段は二重処罰の禁止を定めたのか、
>規定が不備なため見解が分かれているが、
>いずれの説をとっても、
>結論に大きな相違が生ずることはない。
とも書いてありました。


ところで、三浦氏逮捕と
一事不再理原則との関連については、
「弁護士 羽柴駿のHomePage」の中の
三浦和義氏の逮捕と一事不再理の原則』に、
もっと詳しい説明があります。
「市民的及び政治的権利に関する国際規約」
(いわゆる「国際人権B規約」または「自由権規約」)
14条7項との関連にも触れられています。
#一事不再理原則や二重危険禁止原則の定義は
#上に私が書いたものと少し違う表現になってますが、
#定義を引用した出典の違いによるものでしょう。


[参照条文1]憲法39条
 何人も、実行の時に適法であつた行為又は
 既に無罪とされた行為については、刑事上の
 責任を問はれない。又、同一の犯罪について、
 重ねて刑事上の責任を問はれない。

[参照条文2]刑事訴訟法337条
 左の場合には、判決で免訴の言渡をしなければならない。
 1 確定判決を経たとき
 (2号以下は省略)

 ------------(補足)------------

さらに、他のサイトとかも見ていくと、
一事不再理原則は国内法の原則に過ぎず、
二重の禁止の法理を外国判決にも及ぼすという
外国判決条項がないと、外国判決に
一事不再理効は及ばない、との指摘もあります
#例えば、「薔薇、または陽だまりの猫」という
#ブログのこのエントリーです。
この場合、カリフォルニア州法で外国判決条項が
削除される(2004年)前に、日本の裁判所で
三浦氏の無罪が確定した(2003年)こととの関連で、
不利益変更の遡及適用の可否という別の論点が
問題になりえるそうです。

もっと見ていくと、
>英米法では,この一事不再理という
>考え方はとっていません。
とまで断言してるブログもあります。
「田中謙次ブログ」の
一事不再理と二重の危険』というエントリーです。
他の部分の記述も読んでみると、
この方は、上に「芦部憲法」から引用した
39条の解釈についての3つの考え方のうちの
[1]の解釈に立っておられるようです。
なお、こちらには、例のカリフォルニア州刑法656条の
規定の原文も引用されてますので、
興味のある方はどうぞ。

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