あれ、今月は5月じゃね?

仕事の帰りの地下鉄の中、スマホ(Asus ZenFone 5)の
画面を見て思いました。
zenfone5のスクリーンショット201706カレンダー

あれ、今月は5月じゃね?

とかいうと、「2017年6月26日だろ」などとツッコミが入りそうですが、
現行の太陽暦の話ではありません。旧暦(太陰暦もしくは太陰太陽暦)の話です。

スマホのカレンダーでは、一昨日(太陽暦6/24土曜日)の下に
「六月」
とあります。この日が旧暦6月1日という意味です。
つまり、今日は旧暦6月3日とのことです。

しかし、自宅の日めくりカレンダーでは、今月は閏5月となっています。
今日は閏5月3日です。
日めくりカレンダー20170626
それを覚えていたので、
先ほどの「あれ、今月は5月じゃね?」となったわけです。

さて、これは一体どういうことなのでしょうか?
ということで、ちょっと調べてみました。


まず前提として、このスマホ(脚注)のメーカーは、Asus 。
個人的には自作PCのマザーボードのメーカーという印象が
強いのですが、とにかく台湾の会社です。

そして私のZenFone5は、よく言えば「グローバルモデル」ですが、
ぶっちゃけ、(大手キャリアのモデルではなく、元からSIMフリーの)
日本向けにカスタマイズされてない製品です。

で、このカレンダーは、ZenFone5にもともとインストールしてあった、
まぁ台湾仕様のカレンダーです。「春節」とかも出るし。

更に、台湾の時刻は、日本の中央標準時(いわゆる日本標準時、UTC+9)より
1時間遅れ。かつての「西部標準時」と同じものです (UTC+8) 。
#「西部標準時」と聞いて「懐かしい」と思ってくださる方も
#近年では少なくなってきたかもしれませんが。
 
#あ、UTCの制定は西部標準時の廃止より後なので、
#「西部標準時と同じもの」が「UTC+8」というのは
#表現として不正確だぞ、という突っ込みは勘弁してね。

前提の話はここまで。さて本題。

旧暦の月の決め方は、二十四節気にもとづいて決められます。

二十四節気のうち、太陽黄経が30(度)の倍数のものを
「中気」と言います。
中気には、「大暑」など12個があります。
#太陽黄経とは、地球の公転により太陽の見かけの位置が
#春分点からどれだけ移動したかを角度で表したものです。

なお、二十四節気のうち、中気以外の12個を「正節」と言います。
正節では太陽黄経を30(度)で割ると余りが15(度)になります。

中気のうち、春分、夏至、秋分、冬至 の4つを「二至二分」と言います。
まず、この「二至二分」について、
 春分=二月
 夏至=五月
 秋分=八月
 冬至=十一月
と定められます。

中気のうち「二至二分」以外の8個について、
「二至二分」について定められた月に矛盾しない限りにおいて、
以下のように月が定められます。
 雨水=一月(正月)
 穀雨=三月
 小満=四月
 大暑=六月
 処暑=七月
 霜降=九月
 小雪=十月
 大寒=十二月

つまり、「夏至=五月」と「大暑=六月」から、
夏至の翌日から大暑の日までに新月が1回ある場合には
その日が旧暦の六月一日になります。

そして、中気と中気の間隔は、1朔望月(新月から次の新月まで)よりも
長いことのほうが多いです。
そのため、旧暦のひと月の中に中気を含まない月が出てきます。
そういう月が発生して、上記のルールで月の名前が決まらないときは
中気を含まない月を「閏月」とします。
五月と六月の間に生じた閏月であれば、「閏五月」と呼びます。

#逆に中気と中気の間隔が1朔望月よりも短くなることもあり、
#旧暦の同じ月に中気が二回入る場合もあります。
#地球の公転軌道が楕円であるために、
#公転速度が変化するからです。
#そのような場合は「二至二分」を他の中気より
#優先させることで対応します。
#そういう対応をした場合には、中気を含まない月を閏月に
#しないことにより、月の欠番が生じるのを避けるようです。
#(従って中気を含まない月が必ず閏月になるとは限りません。
# 閏月を入れる必要があるときには中気を含まない月に、
# ということです。)

ところで、(日本の)国立天文台のサイトにある
平成29年(2017) 暦要項」によると、
今年の大暑(太陽黄経120度)は、
中央標準時7月23日0時15分だそうです。
(なお、夏至:6月21日13時24分、
 処暑:8月23日 7時20分、
 秋分:9月23日 5時02分 です。)

また、同じPDFファイルの次の頁に
「朔弦望」という月の満ち欠けの一覧表があり、
中央標準時7月23日18時46分に「朔」
つまり新月とのことです。
(その前の朔は、6月24日11時31分です。
 後の朔は、8月22日 3時30分で、
 その次は、9月20日14時30分です。)

ですから、6月23日(朔の前日)までが
夏至を含むので旧暦五月となり、
7月23日の朔の日からは
大暑を含むので旧暦六月となります。
その間の6月24日から7月22日には
中気がありませんので、この月を閏月にします。

ちなみに、
8/22の新月の翌日8/23に処暑ですので、
8/22から旧暦七月です。
9/20の新月の日からは秋分を含みますので
旧暦八月です。
ですので、旧暦五月と旧暦八月の間に
閏月を1回入れる必要があります。
ですので、中気を含まない月を閏月にします。

従って、今は閏五月です。

ですが、ここで大事なのは、大暑の時刻です。
中央標準時の0時15分、これは
前述のとおり、いわゆる日本時間(UTC+9)です。

ということは、西部標準時、もとい、
台湾の時間(UTC+8)では、
前日(7/22)23時15分が大暑です。

そのため、台湾では6/24~7/22の月に
中気「大暑」が含まれるので、旧暦六月。
次の7/23からの月に中気が含まれないので
この月を閏六月とします。

従って、今は六月となるわけです。

というわけで、スマホのカレンダーで
太陽暦の今年7月を見ると、

zenfone5のスクリーンショット201707カレンダー

大暑が7月22日になってます。

一方、家にある日本的百均のカレンダー。
(1ヶ月で1枚のものを手抜きで2枚同時スキャンです。)
#サムネイル画像をクリックすると、
#元の画像(768X1247 約143KB)を表示します。

2017年カレンダー 6月と7月

(サムネイルでは小さすぎてよく見えない
 でしょうが、元の画像を見ると)
大暑が7月23日になってます。
旧暦の日付はもちろん日めくりカレンダーと一致。

というわけで、一件落着?でした。
めでたし、めでたし。

あと、日本の旧暦(天保暦)のルールを台湾に
あてはめるのはいかがなものか、という方も
いらっしゃるかもしれません。
が、今までに書いてきた閏月の入れ方のルールは
前漢の武帝の頃の太初暦から共通だと思いますんで
別に日本のルールを押し付けてるわけではないです、
ということでご容赦あれ。

余談ですが、ここであげたスマホのスクリーンキャプチャ画像は
スマホのスクリーンキャプチャ画像の撮り方を教わって、
最初の2枚です。
6月のが1枚目で、7月のが2枚目です。
但し、一部のアイコンを隠したり、サイズ変更とかはやってます。

脚注) 本当は、音声通話の出来ないSIMカードを入れてるので、
「スマホ」の「ホ」(Phone)を抜いて「須磨」と呼ぶべきなのでしょうが、
それはさておき、として・・・。

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